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最高裁判所第一小法廷 昭和26年(し)103号 決定 1952年12月27日

主文

本件特別抗告を棄却する。

理由

刑訴応急措置法一八条一項は「刑事訴訟法の規定により不服を申し立てることができない決定……に対しては……最高裁判所に特に抗告をすることができる。」と規定している。しかるに、本件における証拠決定のごとく「訴訟手続に関し判決前に為したる決定」に対しては独立して抗告という不服の申立をすることは原則として許されていないが(旧刑訴四五七条)、これに対しては本案被告事件の判決に対する上訴においてかゝる所論の違法(もし違法がありとしても)な証拠決定に基き取調をなした証拠を判決中に採用している場合には判決に影響を及ぼしたものとして不服を申立てることができる。それ故、前記刑訴応急措置法にいわゆる「不服を申立てることができない決定」に該当しないのであるから、本件特別抗告は不適法である。

よって、旧刑訴四六六条一項により斎藤裁判官を除き他の裁判官の一致で主文のとおり決定する。

裁判官斎藤悠輔の意見は次のとおりである。

本件証人尋問の決定は、旧刑訴三四四条二項に基く証拠調の決定である。従って、旧刑訴ではこれに対し異議の申立を認めないし(新刑訴三〇九条参照)また、同四五七条一項の規定により抗告をも許さないものである。そしてその決定の内容は、単に証人を尋問するというだけであるから、その決定に対しては、仮りに証人を尋問の上その証言を証拠として採用した場合でも本案被告事件の判決に対する上訴において法令違反を理由として不服を申立てることを許さないのは勿論刑訴応急措置法一八条所定の憲法違反を理由とする特別抗告をも許さないものであること明白であるといわなければならない。

(裁判長裁判官 真野 毅 裁判官 斎藤悠輔 裁判官 岩松三郎)

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